「休みなくクルクルと考えを巡らせている前頭葉を活性化するには、なにもその回転数を増やすことに躍起にならなくていいのです。それよりもあえて活動を抑え『デフォルト・モード・ネットワーク』という、脳が本当にリラックスしてボーッとしている状態を瞬時に作り出すトレーニングをすることです。すると情報が整理され、脳がすっきりするので、キレにくくなります」
最後に最も大切なことは、「一日の行動ノート」をつけること。
「このノートは、自分の中にある情報を時間軸で整理するためにつけるのです。活動の記録を毎日簡潔に書き記していくと、いろいろな気付きが生まれます。たとえば病院に行ったときも、診察が済んでから会計まで30分かかったと記しておく。そうすると次からは、『この病院は診察後、会計まで30分はかかる』という予測ができます。予測を持って行動をすれば、人はキレないものです」
ノートをつけることは、理性の中枢(第三層)を鍛え、感情の中枢(第二層)を制御する上で大切な手段。
「ぜひ、多くの方にやってみてほしいと思います。感情の中枢(第二層)は急にはしつけることはできません。若いうちから、自分がキレない暮らし方を身に着けることです。感情の中枢(第二層)=大脳辺縁系がストレスなどで異常興奮し、感情が抑えきれなくなってしまうと、人は社会の中で正しく冷静な対処ができなくなってしまいます。普段からストレス解消につながるような手段はなるべく多く持ち、こまめに意識して実行していきましょう。コーヒーの香りを嗅いだり、音楽を聴いたりといった手軽な方法でいいんですよ。これは『ストレス・コーピング』といって、脳の疲弊を防ぐ合理的な方法として新しく注目されています」
精神科医の立場からはshould thinking(べき思考)を捨てることが、ブチ切れ老爆にならないことにつながると和田秀樹さんは言う。
「自分はこうあるべきだ、こうでなくてはという思い込みがあると、それができなかったとき、自分に腹がたつでしょう? それと同じように、まわりもこうあるべきとガチガチに考えていると、それが自分の思い描くレベルでないと、ムカつき、キレてしまう。should thinkingは自分で自分を追い込むことになります。こういう『べき思考』は持たないよう、心がけましょう」