そして和田さんは、テレビの見すぎにも注意を呼びかける。
「テレビ番組というものは、結論を急ぎますし、物事の白黒をつけたがりますよね。それに慣れてしまうと、人は普段の生活の中でも『待つ』ということができなくなってしまう。でも実生活の中では、なかなか結論が出ないことも多いでしょう? 待ちきれない→キレる→人間関係をめちゃくちゃにして、孤独になる。そんな負のスパイラルに陥らないためにも、テレビの視聴は適度にすることです」
それでも人間、イライラするときもある。そんなときは「7秒間深呼吸」をすることだ。
「イライラしているときの脳は、酸素が不足していて窒息状態にあるのです。そこで、脳に酸素を送ることを、意識してみましょう」
具体的には7秒間の深呼吸をする。窓を開けるか、ベランダに出るなどして、外の新鮮な空気を7秒間吸う。
そしてイライラした感情を吐きだすイメージで7秒間息を吐きだすのだ。
「これだけでも、気分がリフレッシュできますよ。また、イライラしてキレそうになったときは、やはり甘いものを食べることです」
甘いものを食べると血糖値が上がり満足感を覚える。
「胃を刺激することで副交感神経が働き、イライラも抑えられるのです。食べている間は食べるという行為に意識が向きますから、気持ちを落ち着かせ心をフラットな状態に戻せるのです」
年をとって怒鳴ったりする人は、自己愛が満たされていない場合も多い。
「自分はまわりから大事にされていないという飢餓感から、感情が暴走してしまう高齢者も多いのですよ。年齢と共に自分の気持ちを上手にコントロールしていくことも大事ですが、自分と同年代の人にちょっと気をつかってあげること、お互いにいいところを褒め合って、互いの存在意義を認め合うこともキレる老人を増やさないためには、大事なことなのです」
老爆問題は、他人事と思ってはならないのだ。(エディター・赤根千鶴子)
※週刊朝日 2017年11月24日号より抜粋