そのためにも、悲願のJ1昇格は必須であり、こんな話もしていた。
「私も30年ほど経営をしてきましたが、不可能に思えることも、ひとつの目標に向かった瞬間に可能になるといったことを何度も経験してきました。振り返れば、私がジャパネットで自社スタジオを建設し、テレビショッピングを始めたときも反対の声は多かったんです。でも、できない理由を考えて、できないと決めてしまったらそれで終わり。できる理由を考えたほうがおもしろいじゃないですか。やる以上は上を目指したい。昇格すれば、来年は長崎に浦和レッズとか鹿島アントラーズが来るわけですから、想像するだけでワクワクしますよね(笑)」
ジャパネットHDの支援を後ろ盾に今後は大物外国人選手の獲得も期待されるが、高田氏は現時点では身の丈に合った運営を強調する。
ただ、長崎は高校サッカーの名門・国見高校が多くのJリーガーを輩出しているなど本来はサッカーが盛んな土地。現在はトップチームに地元出身の選手が1人と地元率は低いが、J1に昇格したことで他チームから“帰郷”する選手も出てくるかもしれない。
毎試合、ゴール裏から声援を送っているという男性サポーターはこう話す。
「(ジャパネットに)お金をバンバン出してスター選手を取ってほしいなんて思っていません。それよりもFC東京の大久保(嘉人)とか徳永(悠平)、コンサドーレ札幌の兵藤(慎剛)とか、長崎出身や国見OBの選手が帰ってきてくれたら、うれしい」
大物選手よりも、J1の舞台で地元の選手がV・ファーレンで活躍してくれることこそ、長崎県民の願いなのだ。
2位の自動昇格枠を争っていた3チームは11日の41節の結果次第でどのチームにも可能性があったものの、デーゲームで名古屋が敗れ、福岡は引き分け。長崎は勝てば昇格決定のホームのナイターで讃岐に3−1で快勝した。
「負けると、やっぱりビールもおいしくない」と高田氏は言うが、最高の勝利の美酒を味わったことだろう。(スポーツライター・栗原正夫)
※週刊朝日 2017年11月24日号