放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、大阪鮓 八竹の「茶巾ずし」について。
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“差し入れの達人”として芸能界で有名なのは、石原プロモーションの俳優さんたちである。
2年ほど前だったか、「1周回って知らない話」(日本テレビ系)の特番ゲストとして神田正輝が入ったときのこと。一箱、一箱に神田さんの名入りの熨斗(のし)がかかった北海道の『サザエ食品』謹製の「十勝おはぎ」が共演者はもちろん、スタッフにも大量に差し入れられた。
「これが有名な……」と思ったら、その場で手をつけてはいけないような気になり、自宅に持ち帰って父の仏壇にお供えしてから、ありがたく、いただいた。
そんな石原プロモーションにかつて所属していて、故・初代林家三平さんの長女、海老名美どりさんの夫と言えば峰竜太だ。
実は私が見かけた“差し入れ”の中で、もっとも大量で、お金も心もこもっていたのが、峰さんの差し入れ。
あれは、いまから15年前の3月、峰さんが日本テレビ系、朝のワイドショー「ザ!情報ツウ」のMCに就くことを発表する記者会見会場だった。
ところは麹町(当時)の日テレ。受付脇でスタッフが大量の紙袋を並べていた。なんと、100人近くは集まったであろう記者やカメラマン全員に、「峰さんからの御礼」だというのである。日本酒の一升瓶と確か、どこかのお菓子、そして麹町から程近い四谷に店舗を構える『大阪鮓(すし) 八竹(はちく)』の茶巾ずしが入っていた。