蒼井優さんが最新出演作での3人の俳優との共演について、作家・林真理子さんとの対談で明かしました。
* * *
林:今度の映画、タイトルが長くて、「彼女がその名を」……。
蒼井:「彼女がその名を知らない鳥たち」です。略して「かの鳥」って呼んでます。
林:蒼井優ちゃんのまったく見たことがない顔を見たような気がしますよ。男の人とのすごく大胆なシーンもあって。こんなの初めて?
蒼井:ここまでのは初めてかもしれないです。
林:出てくる男の人みんなサイテーで、一番純粋なのは阿部サダヲさんの陣治ですけど、陣治も二人で食事中に差し歯をはずしたり、靴下脱いで蒼井優ちゃんが演じる十和子の顔の前で振ったり。
蒼井:メイクさんが毎日、足の指のあいだにゴミをつけてあげたりして、ほんとに不潔で汚らしい感じを出してました。
林:はじめ、十和子が、なんでこんなに不愉快そうに、この下品で不潔な陣治と暮らしてるのかわからなかったんですよ。谷崎潤一郎の世界のようなSM関係かなと思ったんですけど、また違う展開になって、竹野内豊さんの黒崎と会ってるときのあの幸せそうな顔と、陣治に対する「チッ」みたいな顔が対照的で。
蒼井:3本の作品を並行して撮ってるみたいな感じでしたね。阿部さんとのシーンのときは白石(和彌)監督の作品という感じがするんですけど、松坂桃李さんとは「月9」のヒロインみたいな気分になって、竹野内さんとのときはカラオケのイメージビデオみたいな気分で、バラバラでおもしろかったです。
林:なるほど。うまい表現ですね。さわやかなハンサムというイメージの松坂桃李さんが、いやらしくてびっくりしちゃった(笑)。
蒼井:薄っぺらかったですよね(笑)。松坂さん、こんな薄っぺらい役をどう演じるんだろうと思ったら、ほんとに薄っぺらいまま演じられたので、すごい役者さんだなと思いました。ペッラペラなセリフをペッラペラな状態で言えるって、すごい腹のくくり方だなと思って。
林:そうですよね。女優としての力量を余すところなく使い分けて、うまいなと思いました。それにしても、蒼井優ちゃんのかわいいこと。いろんな男の人が恋に落ちるのわかるし、陣治が全身全霊で十和子を愛しているというのもよくわかりますよ。