石破茂元幹事長が「解散には大義がいる」と発言すれば、反安倍の急先鋒、村上誠一郎・元行革相も本誌の取材にこう吠えた。
「大義が全くない恣意的な解散。首相の明らかな森友・加計疑惑隠しが見え見えだ。北朝鮮有事の国際情勢の中で選挙をやる政治空白は許されない。解散権の乱用そのもので、9条より解散権を改憲論議の俎上に先にのせるべきだ。民意はそんなに甘くない」
出身派閥・細田派の自民党選対幹部でさえ、こう不安を口にする。
「現職の衆院議員から地元の空気は非常に厳しいと聞いている。個々の選挙区の実態は全く違う。党本部は最大で30議席減とみているが、認識は甘々。直近の調査ではとても解散を打てる状況ではないという議席数。ヘタすれば、魔の2回生中心に50議席近く落とすかもしれない。この雰囲気では30議席以上減らせば、安倍おろしの政局が吹き荒れ、ポスト安倍選びが本格化し、来年9月の総裁選を待たずして退陣もありうる」
今回の臨時国会冒頭解散の脚本家は麻生太郎財務相一派とされている。
「官邸の菅義偉官房長官や今井尚哉首相秘書官は最後まで拙速な解散は命取りになると反対していたが、安倍首相は麻生氏や保守論壇重鎮、仲良し財界人ら取り巻きの『今なら勝てる』という甘い言葉にのってしまった。解散が裏目になりつつあり、首相ははめられたかもと疑心暗鬼になっていると聞く」(別の自民党幹部)
一方、高笑いが止まらないのは実は公明党だ。
「池田大作氏の教えに背く安倍改憲を嫌う創価学会婦人部の動きがイマイチ鈍いといわれているが、山口那津男代表はもとより計算済み。今回の総選挙で与党が3分の2を失えば、安倍首相が主張する改憲はできなくなり、政権運営のイニシアチブを公明党が握れる。もともと波長が合わない安倍さんの退陣も近くなり、内心ほくそえんでいるはずです」(与党関係者)
さらに新党準備を着々と進める小池百合子都知事が安倍自民党を脅かすという懸念も広がっている。(本誌 村上新太郎)
※週刊朝日 2017年10月6日号より抜粋