放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』新連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「発達障害」をテーマに送る。

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 先日、NHKで「ココがズレてる健常者2~障害者100人がモノ申す」という番組が放送になった。これはもともとは僕が企画した番組。スタジオに100人の障害者が集まり、健常者といろんな企画を行う。視覚障害のある女性が、目が見えなくても男性がイケメンかどうかがわかるという話になり、声を聴くと、ハゲかどうかもわかるという。実際にスタジオにいた芸人さんの声を聴き、ハゲかどうか当てると、意外と高確率だったりして。その女性曰く「声がハゲている」と言うのだ。もちろん大爆笑。

 個人的に、一番白熱した話し合いになったのは、ADHD、発達障害のカミングアウトについて。僕は今年、ある若手芸人A君から「病院で検査したら発達障害であることがわかりました」と告白された。そのときにA君は近い人たちにはそのことを伝えたが、公表はしないと言った。

 そこで番組では「芸人さんが発達障害だった場合は、それを世間に公表するかどうか?」というテーマで話し合った。ちなみに、A君は、飲み会などでも空気を読まずにガンガン発言して、それがおもしろかったり、時には先輩をかなり怒らせてしまったりする。

 スタジオでは、芸人側は、公表したら「笑えなくなってしまうんじゃないか」という人も多かった。天然ボケだと思って笑っていたが、それが発達障害だと言われた瞬間に笑えなくなると。理想としては、そのことを公表しても笑えるような世の中になるのが一番いいのだと僕は思う。が、そこは遠い。

 
 では、芸人さんじゃなく、普通に働くサラリーマンだったらどうなのか?

 自分が発達障害だった場合、それを公表すべきかどうか?

 うちのスタッフの一人は、もともと小学生の頃に学校の先生に「発達障害かも」と言われたらしい。そして、大人になり、僕のところで働きだして、あまりにもミスが連発。信じられないようなミスが続出。1年ほどたったときに、彼が小学生時代に「発達障害かも」と言われた話を聞いた。ネットで調べてみると、彼のミス、つまり彼ができないことが、ピタリとハマった。それ以来、僕はやり方を変えた。できることとできないことをまず自分の中で分けて、できないことは頼まなかったり、細かくメールに書いて送ったりした。それでも驚くようなミスをしたりして。だけど周りにはとてもかわいがられた。

 あるとき、僕は思い切って病院で検査したほうがいいんじゃないかと勧めた。彼は病院に行った。そうしたら発達障害だと診断を受けた。彼に病院で診断を受けることを勧めたことが正しかったのかどうか?と思っている自分がいたが、先日、「ココがズレてる健常者」にも出てくれた、ある障害のある人にそのことを話したら「自分で理解することは大事だと思います」と言ってくれた。

 自分で自分を理解する。これって意外と勇気のいることだよなと思う。自分の性格、立場、様々な自分の今を理解することって、大事だよな。怖いけど。もっと自分を知ろうとしよう。

週刊朝日 2017年9月8日号