埼玉県で野菜寿司が流行っている! そう聞いて記者は思った。野菜の味が酢飯に合うのか? 硬めの歯応えに違和感は? インスタ受けを狙った、見かけ倒しのキワモノだろう!? 化けの皮を剥がすべく、さいたま市に行くと──。
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流行の発信地、さいたま市の「山水」を訪ねた。店主の関根利明さんは、県の鮨商生活衛生同業組合理事長を務める重鎮。3年余の研究の末に約40種のレシピを完成させ、5月に組合加盟全店に配布。現在、30店舗ほどが提供している。
「4年前に開かれたワールド スシ カップに、埼玉の野菜を使った寿司を出してみてはどうかと誘われたんですよ。急な話だったので、桂剥(かつらむ)きにして甘酢に漬けた大根を海苔代わりにして、アボカドとカイワレの手巻きを作るなど、簡単なものを出したんです。それがけっこう好評だったので、きちんと勉強を始めました」
野菜ソムリエを招いて、野菜の特性も学んだ。そこまでこだわった裏には、埼玉県下での寿司人気低迷があるそうだ。
「県の組合に加盟する寿司屋は、ここ10年で1300軒から120軒にまで減ったんです。進出してきたチェーンの回転寿司も、次々閉店している状況です」
起死回生の野菜寿司を試してみると、意外なまでに美味(うま)いのだ! 侮ってごめんなさい。
「薄甘醤油、砂糖、少々の鰹出汁で、野菜を軽く煮るからです」
和の風味をまとい適度に軟らかな野菜は、驚くほど酢飯に合う。他の海なし県も続け!
「山水」住所:さいたま市北区日進町2-788/営業時間:11:00~14:30、16:00~21:00/定休日:木
※週刊朝日 2017年9月1日号