◆第2試合 明豊(大分)×天理(奈良)

 試合終盤に大きな波乱と、劇的な逆転が起こる99回大会のムードは、明豊が作ったと言っていい。3回戦の神村学園(鹿児島)戦では3点をリードしながら9回表に同点に追いつかれ延長に。反対に3点をリードされた12回裏は、2死走者なしの窮地から連打に四球が絡んで、最後は押し出しサヨナラで、歴史的な一進一退のゲームに終止符を打った。

 最後の四球を選んだ背番号「17」の2年生・浜田太貴が打の中心で、今大会2本塁打を放ち、調子は上向きだ。

 元近鉄の中村良二監督が率いる天理は、2回戦で大垣日大(岐阜)を、3回戦では近畿対決となった神戸国際大付(兵庫)を延長11回の末に破って準々決勝進出。4番を打つ神野太樹は2回戦で2打席連続の本塁打を放ったが、3回戦は快音が聞かれず。主砲の復調が、古豪復活のカギを握る。

◆第3試合 広陵(広島)×仙台育英(宮城)

 共に劇的な勝利で3回戦を勝ち上がり、勢いのあるチーム同士がぶつかる準々決勝注目のカードだ。

 広陵の攻守の要・中村奨成は、3回戦の聖光学院(福島)戦の9回に3戦連続となる勝ち越しの4号2ラン。もう一本出れば、清原和博が持つ一大会最多本塁打記録の5本に並ぶが、「記録を残したい気持ちがある。できるなら新記録を」と、新記録樹立への意気込みを語った。

 仙台育英は、1回戦を6回無失点に抑え、2回戦も完封し、さらに大阪桐蔭(大阪)の強力打線をわずか1点に抑えて完投したエース左腕・長谷川拓帆が先発すれば連投となる。佐々木順一朗監督の投手起用にも注目だ。

◆第4試合 盛岡大付(岩手)×花咲徳栄(埼玉)

 済美(愛媛)との3回戦、1点を追う9回に3季連続となる同点本塁打を放ったのが盛岡大付の3番・植田だ。

 さらに延長に入ると植田は、10回に勝利を決定づける2打席連続の3点本塁打。粘りとつながりのある打線で、仙台育英と共に、東北勢初の全国制覇を狙う。

 対する花咲徳栄は、埼玉大会同様、背番号10の綱脇慧と、エースナンバーを背負う清水達也の継投で勝ち上がってきた。綱脇は言う。

「コントロールは自分が勝っていると思いますが、あくまでエースはスピードで勝る清水。清水がいるから、後先考えずに初回から思い切って勝負ができています」

 打線も3回戦で3安打を放った西川愛也を中心に好打者がそろう。3年連続出場の花咲徳栄だが、三塁側に陣取った甲子園の試合では「不敗」という、ありがたいジンクスもある。果たして、準々決勝第4試合で三塁側ベンチに座るのは、花咲徳栄である。(ノンフィクションライター・柳川悠二)

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