NPO法人のキャリア解放区(東京都)は、企業と学生を集めて「就活アウトロー採用」を13年から実施している。通常の就職に違和感を覚え、就職せずに卒業した29歳以下の若者が集まる。合宿やワークショップに参加し、企業の採用担当者と「愛」「信頼」などのテーマで議論する。
当初は参加企業名が明かされず、企業側も学生側も本音で意見を交わす。その後、参加企業名が示され、会社説明に入る。学生と企業が互いに関心を持てば、採用過程へと進んでいく。
昨年はのべ70社、400人の学生が参加し、約80人が就職先を決めた。納富順一代表理事は「ものわかりのよい若者ばかり集めても限界、と考える企業が増えている」という。
アウトロー採用の実績があるコンサルティング会社、アクセンチュア(東京都)はこう評価する。
「一見当たり前なことも、『なぜこんなことをするのか』と疑う目線があれば、新入社員でも上司に意見を言える。それが新しい価値を生むきっかけになる」
食品メーカーのカルビー(東京都)は、新卒を毎年15人ほど採用するが、今年から既卒採用も始めた。大学・大学院卒業後5年以内が対象で、若干名を募集。これまでとは違う発想を持った多様な人材を確保するねらいという。
就職後数年で退職して就職活動を新たに始める、「第二新卒」が近年増えた。
第二新卒などの人材紹介サービスをするUZUZ(東京都)の川畑翔太郎専務は「中小やベンチャーは、新卒採用だけでは確保しにくい状況です」と話す。
パワハラや長時間労働を理由に、就職しても短期間で退職する。こうした若者たちが第二新卒として新たな職場を探しており、企業側も採用で注目している。
18歳人口は減少傾向で、就職活動の売り手市場はまだ続きそう。今後もユニークな採用は広がりそうだ。
※週刊朝日 2017年8月11日号