「安倍首相は20日に岸田文雄外相と2時間も会談して閣内残留を説得した際、選択肢の一つとして官房長官ポストを示唆したと複数の有力筋から聞いた。菅(義偉)氏は総務会長など党の要職で処遇するという。この話には麻生太郎財務相の意向が色濃く反映されているとか。一方で、さすがに菅氏は切らないという見方も根強い。情報が乱れ飛んでいて、真相は安倍氏と岸田氏の2人にしかわかりません」

 第2次安倍政権の発足時から一貫して政権の屋台骨を支え続けてきた菅官房長官だが、ここにきて、安倍首相との関係が変化してきたという。総裁派閥である細田派の幹部がこう語る。

「安倍首相と菅氏の間にすきま風が吹いているようだ。都議選惨敗後、麻生氏が政権に注文をつけ始め、その分、菅氏の意見が通らなくなってきた。文部科学省の内部文書を『怪文書』と呼んだことや東京新聞社会部の女性記者とのやり取りをメディアに注目され印象を悪くしたことなど、安倍首相は加計問題がこじれた元凶は菅氏だと思っている。菅氏切りはあり得る」

 そして岸田官房長官を補佐する官房副長官には小泉進次郎氏の起用が取りざたされている。

「進次郎氏はまだ承諾していないとされている。ポスト安倍に色気を持つ野田聖子氏の厚生労働相起用も有力視されているが、受けるかどうかは未知数で、組閣の人選は難航しているようです」(官邸関係者)

 大幅改造のリスクはやはりスキャンダルだ。身体検査を怠り、内閣改造直後に閣僚に新たな不祥事が発覚するようなことになれば、支持率回復のラストチャンスを棒に振ることになる。

 26日には、昨年の参院選で初当選した今井絵理子議員に妻子持ちの神戸市議との不倫スキャンダルが発覚。実はこの今井氏も、次の人事で要職への起用が検討されていたという。

「今井氏は今度の改造で政務官や党の女性局長など女性局の要職に就け、来たる衆院選で応援の目玉に考えていた。当てが外れた」(前出の細田派幹部)

 政権浮揚の「目玉」となる人材を欠く改造となる可能性もある。

安倍首相はかつて、都知事となった小池百合子氏と会談した際、こんな“冗談”とも“密約”ともとれる言葉をかけたという。

「2020年の東京五輪まで都知事を務めて国政に復帰したらいい。俺の後は小池さんでもいい」

 だが今や、安倍政権の「余命」は東京五輪まで持ちそうにない。(本誌 小泉耕平 村上新太郎)

週刊朝日  2017年8月11日号