「安倍さんが稲田をズルズル引っ張ったせいで支持率はまだまだ落ちる」(ベテラン議員)

 加計学園問題への対処も、うまくいっていない。7月24、25日の衆参の予算委員会の閉会中審査が国民の疑念を払拭するチャンスだったのだが、そこに、かつてのように強気な安倍首相の姿はなかった。25日の参院予算委で質問に立った自由党の森ゆうこ議員がこう語る。

「安倍首相と対峙して、あれ?と思いました。頭が混乱している様子で、目がうつろ。支持率が高かった、ついこの間までは自信満々な様子で饒舌に答弁していたのに、まるで別人です。2007年の第1次安倍政権末期、首相を辞任する直前の所信表明演説で、憔悴して原稿の一部を読み飛ばしてしまったときと同じような状態に見えました」

 安倍首相を追い詰めたのは、皮肉なことに自分自身の答弁だった。24日の衆院予算委で、加計学園の特区への申請をいつ知ったか、という問いに、

「加計学園の申請が正式に認められた(1月20日の)特区諮問会議で私が知るところに至った」

 と発言。だが、それ以前から加計学園の意向を知っていたことを示す過去の国会答弁との矛盾が次々と露呈。翌25日の予算委では「急に質問があったので、混同した」と過去の答弁を否定するなど、苦しい弁明に追い込まれてしまった。

“オウンゴール”となったこの答弁、単なる失言などではなく、実は練りに練られたものだったという。政府関係者がこう語る。

「あの答弁は、前日の23日の日曜日、安倍首相の富ケ谷の私邸に側近の秘書官が集結して決めた腹案です。安倍首相自身の疑惑を軽くするために入念にロジックを練ったものでしたが、結果的に野党からの突き上げでロジックは崩れ、かえってマイナスになってしまった。完全に誤算です」

 そんな安倍首相が起死回生をかけて臨むのが、8月3日に予定される内閣改造だ。これまで政権の「骨格」には手をつけないとされてきたが、閉会中審査のヘマでさらに悪化した情勢を受け、話が変わってきた。焦点となるのは官房長官人事だ。前出の政府関係者がこう語る。

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