1年生から“怪物”として注目を集めてきた清宮には、識者がさまざまなコメントを寄せる。最大の魅力である飛距離を絶賛する一方で、外角の変化球への対応力や、足の遅さや緩慢な守備を指摘する声もある。

 当然、清宮も記事で読んだり、指摘を耳にしたりしているはずだ。そこで清宮はいかに「清宮幸太郎」を見ているのか、つまり自己評価を聞いた。

「実はそんなに足は遅くないです(笑)。野手からの送球は、どんな球でもカバー(捕球)できます」

 大柄な肉体を揺らせペンギンのように走る清宮が真っ先に「足」についてコメントしたのは、印象で高校球児を判断してほしくないという矜恃があるからかもしれない。確かに、2年前の高校日本代表を率いた大阪桐蔭の西谷浩一監督も、映像で見ていた印象と、実際に接して抱いた足の速さの違いを口にしていた。

 しかし、バッティングに関する言及がない。

「まあ、狙わなくてもホームランが打てるところですかね。(高校通算本塁打の)記録(107本)は意識しない。ヒットの延長がホームランになってくれたら」

 この夏が終わるとき、清宮の通算本塁打数はどこまで伸びているのだろうか。(ノンフィクションライター・柳川悠二)

週刊朝日 2017年7月28日号