都議選最終日の応援演説でブーイングを浴び、「こんな人たちに負けるわけにはいかないっ」と声をあげた安倍首相。この状況を作家の室井佑月氏は呆れる。
* * *
今日は7月2日、東京都議会選挙の投開票日だ。夜から徐々に結果が判明していくが、わくわくするような怖いような……。
都民はどういう判断を下すんだろう。いいや、投票できるのは都民だけだが、今回の選挙の結果は、全国の人々が固唾をのんで見守っているはず。
だって今回の選挙、都政うんぬんというより、「安倍一強」といわれる今の状況の是か非かが問われたんじゃなかろうか。この先、行われる衆議院選挙の前哨戦みたいなもん、あたしはそう捉えて投票にいった。
しかし、大勝ちしそうな小池百合子都知事率いる都民ファーストの存在で、そうもいえないかもしれない。
小池都知事は自民党に離党届を出した。が、考え方は安倍首相に近いともいわれている。日本会議の国会議員懇談会のメンバーも務めていたし。彼女のもとに5人国会議員が集まり、党を作るなんて噂もあるけど、そこんとこマスコミはもっと追求してくれないか?
小池都知事は今の人気に乗って、いつか自民党を乗っ取って、総理大臣を目指しているのか?
都議選の前は「自民vs.小池・都民ファースト」という構図の報道ばかりだった。もし、前述のあたしの疑問が現実になったなら、マスコミのミスリードとなる。ただ、自民党っていう看板を付け替えただけじゃん。ま、そうなっても反省なんてしないのだろうけどね。なんか納得いかないが。
そうそう都議選の最中に、稲田朋美防衛大臣が、自民党の候補者の応援にいって、「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」とのトンデモ演説をした。
稲田さんはその後、発言を撤回したが、彼女の立場でのこの発言自体がアウトなわけで、撤回すれば済むという問題じゃない。
つーか、あたしはホント、この人の生みの親である安倍首相にそっくりだな、と思った。政治家として、権力の私物化がどれほど恥ずかしいのかわかっていない。
「こんな人たちに負けるわけにはいかないっ」
と声を張り上げた。またキレたんか?
なぜ、ブーイングが起こったのか、この人は考えたりしないんだろう。
総理大臣は、自分の支持者だけの代表ではない、すべての国民の代表者である。
「こんな人たちに負けるわけにはいかないっ」って、自分に刃向かう人たちは敵という考え方なのか?
当たり前のことだけど、この国もこの国の財産も、あなたたちのものじゃない。そして、あなたたちは国民を守る義務がある。選別したりせず、すべての国民をだ。それが仕事じゃないの?
それが理解できず嫌だというなら、議員を辞めるしかないね。こんなんで共謀罪通して、大丈夫なのだろうか?
※週刊朝日 2017年7月21日号