
職場にはいろんな“バカ”がいる。突然「会議をやろう」と招集をかける「会議好き」、相手先の反応などの数値化を求めてくる「数字好き」、異論を唱えると「これは規則なんだ」の一点張りの「規則好き」。あなたも心当たりがあるがあるはずだ。そんな代表格 “3バカ”の対処法とは?
こうした人たちに出会ったら、どう対応すべきか。
心理学者の榎本博明さんは、「正面から対決せず、実はとっても可哀想な人たちなんだと思って、冷静に対処すればいい」と指摘する。相手ごとの特徴や対策などを、朝日新書『カイシャの3バカ』でまとめた。
バカに反論すると、予想以上に面倒なことになりがちだ。インターネットコンテンツ運営の中小企業に勤める20代後半の男性は、無駄な会議をたびたび開く上司にこう提案した。
「事前に議題を告知したほうが、建設的な意見が出る。目的を定め終了時間も決めたほうが、効率よく進む」
すると上司は「キミは何もわかっていない」などと激高。なぜ会議が重要なのかを滔々(とうとう)と説明した上で、こう言い放った。
「俺のことをもっと尊敬しろ!」
この後、上司からしばらく仕事をまわしてもらえず、冷遇された。
「会社のために、生産的な提案をしたつもりだったんですが、人格を攻撃されたと受け取ったようです。かかわらないほうがいいと痛感しました」
榎本さんは、正しい提案であっても相手の不安を刺激してはいけない、と助言する。偉そうにしている人に限って何か主張されると、「バカにされたり、力がないと思われたりしているんじゃないか」と受け取る傾向がある。
では、どう対応したらよいか。榎本さんは会議では素直に聞いているふりをしながら、自分の業務を黙ってやることを勧める。いわば授業中にほかの勉強をする「内職」と同じだ。
都内で働く中井博さん(仮名)は、無駄な会議では、パソコンで自分の仕事をしている。
あるとき上司の側近にばれて、「会議に集中するべきですよね」と注意された。中井さんはこう切り返した。
「3分でまとまっていない話は聞く価値のない話だと、私の上司が言っていました。だから聞きません」
側近はバツの悪そうな顔をして、引き下がったという。「上司の名前を出したのが効果的だったのかも」(中井さん)