史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段の活躍はもはや社会現象として日本中を席巻している。一番関心が向いているのが、この天才中学生がいかに生み出されたか。わが子、孫のためにと、将棋セットや藤井四段が親しんだ玩具が飛ぶように売れている。藤井四段に倣えば、天才を育てられるのか。
「出荷が追いつかない」
そんなうれしい悲鳴を上げるのは、藤井四段が最初に将棋に親しむきっかけとなった将棋入門セット「NEWスタディ将棋」(くもん出版)の担当者。駒の表面に動かし方が書かれている初心者向けの玩具で、藤井四段は祖母と一緒に楽しんだ。連勝が話題になり始めた2月ごろから注目され、直近では通常時の5倍もの注文がきているという。
本格的な将棋盤や駒も売れている。将棋駒製造の「中島清吉商店」(山形県天童市)も近年にない売れ行きで、藤井効果に戸惑うほど。
「祖父母や両親が、孫や子供のために買っていかれます。5千円から1万円の間の将棋盤と駒のセットが売れています」(担当者)
藤井四段の中学生とは思えない冷静さや落ち着き、そして頭脳。これらは幼少期にヒントがあるのではないかと幼い子供のいる親や、孫を持つ祖父母は注目。つまり、藤井四段がこれまで体験したり、親しんだりしたものに、「天才をつくる教育法」として、関心が高まっているのだ。
それらは、どんな効能が期待できるだろうか。
まずは、藤井四段が子供のころに遊んだとされる、スイスのキュボロ社の木製ブロックパズル「キュボロ」。基本セット「キュボロスタンダード」の価格は3万2千円(税抜き)だが、1月ごろから問い合わせが増え、注目が高まった5月になると注文が殺到。天然ブナを用いて手作りで製造しているため「現在は少なくとも半年以上は待っていただいている状態です」(正規輸入代理店「アトリエ ニキティキ」担当者)。
溝や穴が開いた木製のブロックを組み合わせ、そこに上から玉を落として、下まで行くように通路をつくる。表からは見えないトンネルやコースをつくっていくので、「三次元で物事を考えること、空間認知力や集中力が養われる」(担当者)という。