その完璧なアイドル像を追い求める姿勢から、時に「嗣永プロ」と呼ばれることもある。その感想を報道陣に質問されたももちは、「(うれしいけれど)カワイくないんですよね」と、最後まで笑わせる「プロ」ぶりだった。
ライブ後半は、ももちが「大切に育ててきた」という、自らがプレイングマネジャーをつとめたカントリー・ガールズのメンバーとともに。途中、かつてトレードマークだった、ツインテールの「ももち結び」も「おそらく最後となるでしょう!」と3年ぶりに復活、ファンを沸かせた。
滅多なことで泣かないももちが、少し涙を見せたが、最後まで笑顔で、アイドル「ももち」であり続けた嗣永桃子。
「私は見ての通り、ビジュアルもいいし、愛嬌あるし、運も持っているから大丈夫。それよりもみなさんの方が幸せになってください!」
最後にスクリーンに映し出されたのは、ももちがマイクを握るとき、常に立てていた小指。それを、ゆっくり折り畳み、「ももち」という15年のアイドルストーリーの幕は下りた。
ももち最後のアルバムに提供した「気ままな片想い」の作詞作曲を手掛けたミッツ・マングローブさんも、この日、会場にいた。ミッツさんは、ももちをこう表した。
「本来アイドルは『 無自覚の賜物』だと思うのですが、ももちはアイドルとしての自覚と自我を武器に、本物に成り得た。まさに職人アイドル。『アイドル』と『職人』は対義語なはずなのに。60年代以降、日本が育んできたアイドル文化にとって、ももちはひとつの到達点なのかもしれません」
「有吉反省会」などでおなじみのタレント、ぱいぱいでか美さんも、会場にいた。ももちのコンサートに足繁く通い、ファンクラブのバスツアーにも参加するほどの大ファン。こんな感想を寄せてくれた。
「ラストライブはまさに15年間の集大成で、メドレー含む一曲一曲、衣装、演出のひとつひとつがまさに『ももちワールド』全開のものでした。時に涙することはあっても絶対に歌に影響を及ぼさないようにしている姿は流石でした。最後は小指を畳むその瞬間まで見せてくれ、おとももちは世界で一番幸せなファンです」
ファンや後輩たちにたくさんのものを残したももちは、7月1日から、「もうひとつの夢だった」という、幼児教育の世界へ歩きだす。
「次は子供たちのアイドルになります!」
"ももちイズム"を学んだ子供たちが活躍する未来が、そのうちやってくる。(本誌 太田サトル)
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