体を動かす、話す、食べる、呼吸をするといった運動神経系機能が次第に失われていく、ALS(筋萎縮性側索硬化症)。数年前の“アイス・バケツ・チャレンジ”でその病気を知った人も多いと思うが、いまだ治療法が見つかっていない難病だ。
このALSを広くアピールする世界ALSデーの6月21日、中野ZEROホール(東京都中野区)で「ギフト 僕がきみに残せるもの」のジャパンプレミア試写会と、来日した映画の関係者やALS患者らによるトークショーが開催された。
本作品は、ALSを発症した元アメリカンフットボール(NFL)選手のスティーヴ・グリーソンが、生まれてくる我が子に贈るために撮り始めたビデオダイアリーを元にしたドキュメンタリー映画だ。
NFLのニューオーリンズ・セインツの英雄だった主人公のグリーソンは、引退したある日、医師からALSかもしれないと告げられる。そしてその6週間後、妻の妊娠が判明。歩く、話す、食べるといった日常的な動作が徐々に難しくなっていく中、グリーソンは未来の我が子に宛ててビデオダイアリーを撮り、父としてメッセージを残していく。
映画では、筋肉質の体が徐々に痩せ、ろれつが回らず、食事も、排泄(はいせつ)もできなくなっていく真実が映し出される。だが、「No White Frags!」(白旗は揚げない)という精神で、生きることをあきらめず、新しいことにチャレンジし続ける。
それは、ALS患者を支援する非営利法人「チーム・グリーソン」の設立や、コミュニケーション障害を持つ人に必要な音声合成機器の保険適用を保護する「スティーヴ・グリーソン法」の実現をもたらした。
上映後のトークショーでは、来日したグリーソンの妻ミシェル・ヴァリスコ氏や、ALS患者支援の啓発活動を展開する一般社団法人「WITH ALS」の武藤将胤氏らが登壇した。