バブル世代が集まると、当時の話に興じてしまう。あのころは楽しかったねぇと、ネタ半分、説教半分。つい、若者にも伝えたくなってしまうほどの「二度と味わえない」と感じる体験。それがバブルだった。
50代のバブ男は「今の中高年はハッピーじゃないから、話していると乗ってきちゃう。悪気はないですよ」。教訓を垂れると気持ちいいし、若いころは自分も年長者の説教に学んだ、という。
「24時間戦えますか」というCMがはやった時代だ。土日でもアフター5でも上司の頼みなら動いた。が、今の若者はどうだろうか。飲みに誘って、「それ、業務命令ですか」とは寂しい。
バブル世代には、「昔と今は情報や選択肢が違う。われわれの時代の価値観との比較は無意味」と若者に寄り添う元バブ男(48)もいる。一方で、バブルの価値観から抜けない人も。
会社員のバブ女(50)は今もブランド服を身にまとい、ことあるごとに海外旅行を楽しんでいる。「今の若者は『働いたご褒美に海外旅行』という感覚がないのかしら。不安が多いのはわかるけど、未来は明るいと思ってほしい」。バブ男もバブ女も数え切れないほどの出会いと失敗を重ね、人生を謳歌してきた。
実は、記者は学生時代まで臆病者だった。が、社会人になってバブ男とバブ女に感化され、前向き精神が身についた。“バブル菌”とともに鈍感力もつき、いろんなことにたくましく挑戦できるようになった。が、もし違う時代に生まれていたら、きっと違う生き方をしていたと思う。
世代が違えば、考え方が違うのは当たり前だ。「バブル世代はうざい」「今の若者は……」なんて互いに言ってないで、明るく仲良く、今を一緒に生きようじゃありませんか。
※週刊朝日 2017年6月23日号