昭和の時代に栄えた産業や日常生活を支えた職人たち。時代とともに機械化が進み、その姿は今では消えつつある。競合が消えたことで逆にニーズが生まれたり、文化として若手に注目されたりした分野も。かろうじてまだ現役が活躍する、限界集落ならぬ「限界職人(マイスター)」を訪ねた。
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初来店の客にデザインの希望を尋ねると、自分を責めるような口調の人が多いという。
「どうせ限られているんでしょう。わたし、本当にヘンな足なんです」
そんなときでも穏やかに要望を聞いていく。
「試しに測ってみましょうか。正確な足のサイズを知らない人は多いんですよ」
こんなやりとりを採寸時に1時間もかけるのが、靴工房「uzura(ウズラ)」(東京都足立区)。若手の職人がサンプルを見せながら受注製作する工房の一つだ。大事にしているのは「会話」だ。
ネット通販の波は、試着が欠かせない靴にも押し寄せ、サイズが合わなければ送り返せるサービスも普及。店舗に足を運ぶより安くて便利だが、それではすくい取れないニーズもある。
「顔のように、足もバラエティーに富む。スラリとした女性の足幅が実は広くて力強かったなど、体形と必ずしも一致しないんです」