THEは評価に際し、教員数や資金などリソース、留学生比率など国際性、高校教員からみた満足度、人事担当者や研究者からみた成果、の4分野に着目した。ランキングは四つを総合した指標だが、各分野の順位もわかる。
リソースの順位でみると、医学部や理工系学部を持つ国立大、医系の公立大や私立大が上位に並ぶ。国際性だと、特徴ある教育をうたう私立大が高い評価だ。
生徒を送り出す側の高校教員の満足度でみると、東大や京大を抜いて国際教養大(秋田市)がトップ。定員175人の国際教養学部のみの大学で、徹底した英語教育などで注目される。
学生を受け入れる側からみた成果の指標では、1位が東大で、2位が京大と大阪大。私立は慶應義塾大、早稲田大、東京理科大、立命館大などが上位だった。
THEは、国際的な大学評価の権威として知られる。昨年9月には、米国版ランキングをウォールストリート・ジャーナルと協力して作成。今回は2カ国目の国別版となり、ベネッセグループと協力した。
国別版を相次いでつくるのはなぜか。THEの運営会社のダンカン・ロス氏は「研究力は国境をこえて評価しやすいが、教育力は難しい」と話す。
世界ランキングの評価指標は、教育力(30%)▽研究力(30%)▽研究の影響力(30%)▽国際性(7.5%)▽産業界からの収入(2.5%)の比重でつくられる。研究実績が乏しい大学は評価されにくい。
「16-17年版」の世界ランキングでも、日本からのベスト100入りは東大と京大のみ。980までのランク入りは69大学だった。
国立の長岡技術科学大(新潟県)はその一つ。世界では800位以降だが、日本版だと17位。同大は「本学独自の国際的な実践的技術者教育が日本をリードしていることが高く評価された」とみる。工業系大学としては、4位の東京工業大に次ぐ順位。高専卒業生や外国人留学生を3年次に受け入れたり、20年以上前から海外との学術交流協定に取り組んだりしてきたという。