「摂食嚥下に対応できる医療機関がどこに、どれだけあるかがわからないという声が多かったので、全国の医療機関に、摂食嚥下の検査か訓練ができますかと呼びかけました」(戸原氏)
すると、全国の病院、医科および歯科クリニック、訪問看護ステーションなど1330もの医療機関が名乗りを上げてきたという。
「これは嚥下の検査や、改善のための機能訓練を行っている医療資源の総計です。医療機関の方針まではわかりませんが、摂食嚥下に対応できる医療機関数はかなり多いことがわかりました」(同)
ならば、自分の住む地域で、自宅に訪問してくれる医療機関が実際にどれだけあるのか。参考になるのが、戸原氏が作成した摂食嚥下関連医療資源マップだ。このマップに載っている医療機関に相談することから始めてみるといいだろう。
もし、医師から「食べられない」と宣告されたとしても、簡単に諦めてはいけない。誤嚥のリスクを考えて食べないという選択をするのか、多少のリスクがあっても食べる道を模索するのか。もし患者や家族が後者を選択するのであれば、それを支援する専門家はいる。諦めずに探せば、きっと見つかるはずだ。
※1 平成23年度 「摂食嚥下障害に係る調査研究事業」研究代表者・才藤栄一藤田保健衛生大学医学部教授
※2 平成26年度 「高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究」
※週刊朝日 2017年4月7日号より抜粋