東大が入試改革とともに進めている「高大接続改革」。埼玉県内の高校などと連携した取り組みで、授業改善などを行なっているが、そこで注目されているのが「知識構成型ジグソー法」と呼ばれる、アクティブ・ラーニング(AL)型の授業だ。開発したのは、東大の大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)。英語での略称から、コレフと呼ばれる。教育ジャーナリスト・渡辺敦司氏がその実態を探る。
ALは「能動的学習」と訳され、大学で採り入れられた手法。20年度以降に全面改訂される小中高の次期学習指導要領でも、AL型授業は目玉の一つだ。
14年、下村博文・文部科学相(当時)が改訂の検討を求めた諮問文にも、ALの文言が入った。「入試が変わらないと、授業も変わらない」。そう称される高校教育を意識したと指摘される。ただ、今や入試のためだけの動きではない。
「全国の高校長も、授業が今のままでよいとは思っていません。生徒が社会で活躍する21世紀中盤を考えると、授業改善に今からチャレンジしなければいけないのです」
全国普通科高等学校長会の大学入試研究委員会専門委員の細田眞由美さんは、こう指摘する。
細田さんが校長を務める、さいたま市立大宮北高校を昨年12月に訪ねた。同校は全教室に電子黒板があり、ICT(情報通信技術)環境が整っている。1年生の教室では、AL型授業が実践されていた。
化学の田村守行教諭は教科書もノートも持たず、スマートフォンで授業をしていた。電子黒板にプレゼンテーションソフトを映し、スマホを片手で操作しながら生徒たちとやりとりする。
「酸化数はいくつになるかな」。田村教諭が問いかけると、生徒は4~6人で向かい合って相談。意見をまとめ、代表が理由を述べた。
教員が黒板に板書しながら話し続ける「チョーク&トーク」型を改め、調べたり話し合ったりする能動的な授業を進める。「主体的・対話的で深い学び」が目標で、生徒の理解度や満足度も上がったという。