──佐賀県の玄海原発のように、原子力規制委員会の安全審査に合格すれば、運転再開を認める可能性もあるのか?

「規制委の判断は、JISマークを通っているということと同じです。規制委を合格したらハイOKと言うつもりは全然ありません。安全基準を通ったら事故は起きないというのなら、なぜ福島原発事故は起きたのか。三つの検証がなされない限り応じられません」

──お墨付きではない?

「そもそも安全にお墨付きなんてものはないのです。安全確率100%なんてあり得ない。99%でも、100基あったら1基が事故を起こすことになります」

──鹿児島県の三反園訓知事が公約を破り、川内原発再稼働を事実上容認した。

「他県のことにコメントするのは控えたいと思います。ただし『知事に再稼働させるかどうかの権限はない』というのはどうでしょうか。確かに、稼働中の原発に知事が乗り込んでいって、スイッチOFFなんてできるわけありません(笑)。原発立地県は電力会社と安全協定を交わしており、電力会社はこれを順守しなければなりません。自治体は安全が確保されていなければ防災対策が組めない。知事は協定違反を指摘できるし、それに基づいて法的手段も打てる。県民の安全を守るための権限があるという認識でいいと思います」

──“原子力ムラ”と対立することで何か圧力は?

「私自身はまったく感じていないですね。鈍感なだけかもしれませんが。ないとは思いますが、合法的な範囲ならご自由に、でも違法なことはしないでくださいね、と思います(笑)。幸い今の日本にはメディアもありますし、SNSもあります。何であれ私は、自分の意見を発信し続けていきます」

──もし、規制委の「合格」を理由に再稼働を強引に推し進めようとしたら?

「三つの検証がなされ、県民の命と暮らしが守られない以上、私はノーと言います。それを無視して再稼働が行われたら、司法や世論に訴える方法もあります」

週刊朝日 2017年2月10日号

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