漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」(テレビ東京系 金曜24:12~)に出演するおじさんたちに猫映像のように和むという。
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おじさんが飯食ってるだけのドラマ、「孤独のグルメ」シリーズでおなじみのテレビ東京の新作は、「おじさんだらけのテラスハウス」?
よくぞこれだけ揃えたと思う名バイプレイヤーたち、大杉漣(65歳)、田口トモロヲ(59歳)、遠藤憲一(55歳)、光石研(55歳)、松重豊(54歳)、寺島進(53歳)。寺島さんが一番若いってのが意外。この6人が本人役でひとつ屋根の下、共同生活を送るという、このテレ東の企画力。フジテレビに分けてあげて!
ドラマなのか、素なのか、絶妙に曖昧な空気で進行するけど、何がすごいって、全編にみなぎる「おじさんを愛(め)でてくださいね!」という方向性だ。朝ごはんを作って、和気あいあい食べるおじさん。今日の星占いで、キャッキャするおじさん。ゴミ出しじゃんけんをするおじさん。なんでしょう、まるで猫映像を見るかのように、ただおじさんを見ては、ウフフと和みだす、この全国岩合光昭化計画。
寺島「俺もみんなも、主役やってるよ? 松重だって遠藤だって」
光石「テレ東だろ?」
遠藤「テレ東の何が悪いんだよ」
光石「俺はNHKとかキー局の話してるの」
田口「NHKならボクも」
光石「あんたBSだろ!?」
「植物男子ベランダー」(田口主演)……ファン、号泣。
2話では遠藤と松重が「相棒」ならぬ「相方」というドラマで共演する。お互い何とも思ってないのに、周囲が「共演NG? キャラかぶってる?」と気を使いすぎてこじれていく二人。男女の行き違いドラマはよくあるけれど、おじさん同士の想いのすれ違いにフォーカスするテレ東、攻めすぎだ。もはやおじさんたちが、会いたくて会いたくて震えだしても驚かない。
この演技力に、この癒やしパワー。月9みたいなヒロインなんて、初めからいらなかったんだ。これからテレ東は、すべてのドラマをおじさんで……て、え? すでにもうそうなってる?
※週刊朝日 2017年2月10日号