著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、漫画家の美内すずえさんが選んだのは、リトルスパイスの「スパイスカレー」だ。
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吉祥寺に住んで、もう38年。最近は地元民が落ち着けるような、店主の個性が感じられる店が減って寂しいですね。このお店は15年ほど前の開店当時から通っています。昔の吉祥寺の面影が残っていていいんです。
もともとカレーは大好き。ここのカレーは独特で、たまに無性に食べたくなります。メニューによっていろんな辛さがあるんだけど、どれも最初の口当たりは優しく、少したつと汗がどばーっ(笑)。だから食べに行くのに覚悟がいるんです。まず、その後に人と会う予定が入っているときはダメ。汗をかくからTシャツ着用、タオルは必須。お化粧はすっぴんか、はげ落ちる覚悟で。
豊かなスパイスの香りと爽やかな辛さを堪能したら、食後はすっきりとして、何だか元気が出るんです。私の体に合ってるのかしらね。お気に入りです。
『ガラスの仮面』も40年も続くと思わなかったけれど、描きたいことはまだまだたくさん。元気の源のひとつが、ここのカレーなのかもしれません。
「リトルスパイス」東京都武蔵野市吉祥寺本町2‐14‐1 山田ビル2F
/営業時間:平日17:30~21:00L.O.土日16:30~21:00L.O./定休日:不定
※週刊朝日 2017年1月27日号