著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、落語家の春風亭小朝さんが選んだのは、銀座吉兆の「鯛茶漬け」だ。
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こちらのお店が、かつて「ホテル西洋銀座」の中にあったころから通っています。時にはおもてなしにも使います。特に、相手の好みがわからないときなど、ここにすれば間違いがないので重宝しております。
いつもは、季節のお椀とローストビーフをいただいたあとに鯛茶漬けを注文します。僕の食べ方はちょっと変わっていて、まずは炊き立てご飯に鯛をすべてのせてしまい、山葵(わさび)をちょっと。それで一膳食べてしまう。次に、おかわりのご飯に海苔と山葵をのせて、初めてお茶の登場。ですから、1膳目が鯛ご飯、2膳目が海苔茶漬けです。以前、黒柳徹子さんが「鯛茶漬けはお茶をかけないほうがおいしい」と力説していて、やってみたらおいしかった。それ以来、この食べ方なんです。
鯛はぷりぷり、ご飯も海苔も、すべてに艶があり、見ただけで食欲をそそります。一度で二度楽しめるお茶漬けです。お店も移転して新しくきれいになったし、皆さんもぜひ「小朝流」鯛茶漬け、試してみてください。
「銀座吉兆」東京都中央区銀座2-6-12大倉本館4F/営業時間:11:30~14:00L.O.17:30~21:00L.O/定休日:月(祝日の場合は翌日)
※週刊朝日 2017年1月6-13日号