「容器はプラスチック製で、円形。ネジ式の丸いフタがついています。尿を出させた後、素手で触って、温かみがあるかどうかをチェックします。匂いも嗅ぎます。フタには特殊なシールを貼り、指印を押させ、はがすとわかるようにします」(同)
お茶か尿かの見分けはつかないものなのだろうか。
「緑茶だったら、色ですぐにわかるでしょう。ウーロン茶とか麦茶であっても、鑑定したらお茶かお茶じゃないかぐらいわかりますよ」(同)
では、お茶か否かを再鑑定できないのだろうか。
前出の小森弁護士はこう言う。
「採尿は1回の鑑定で使い切りなんです。微量でもドンブリ一杯の量でも同じで、鑑定後廃棄します」
ASKA氏が釈放された9カ月前、警視庁が摘発した覚醒剤事件の裁判で無罪判決が出ている。東京地裁立川支部で開かれた公判で、被告人の尿から覚醒剤の陽性反応が出たとする鑑定書が証拠採用されず、「別人の尿が鑑定された疑いが否定できない」と、捜査のずさんさを厳しく指摘された。慎重さが求められるのが薬物捜査のはずだ。ましてや今回はASKA氏のような著名人が絡む事件であり、世間が大きく騒ぐことは容易に予想されたはずだが……。
「ASKA氏の場合、任意による採尿なので、拒否もできた。自ら110番通報したわけですし、警視庁も令状を取った上での強制採尿はできなかったのでしょう。しかも、奥さんがそばにいて見ていたので、ASKA氏の体の先からおしっこが出ているのを見るというのは、やりづらかったのではないでしょうか。警視庁は今回の事件で、よもや争うことになるとは思わなかったのかもしれません」(小森弁護士)
※週刊朝日 2017年1月6-13日号より抜粋