「自分がもしこの委員会にいれば、同様の指摘をしたと思う。例えば、トンネル天井部の高さ1メートルを下げるなんて一度、路線位置やルートを決めれば、変更はほとんど不可能。だが、福岡市交通局はそこに耳を貸さなかったのでしょう。委員の意見を真摯に聞いて対策をしていれば、陥没事故は防げました」
会議録を読み進めると、薬液注入して地盤を固めて掘り進めるような計画もあったが、実現していない。そしてどの会議でも基本的に福岡市交通局側の意見が通っている。
会議録の中には、福岡市交通局のこんな発言が繰り返し述べられている。<路面交通やライフラインに支障をきたさないことが大前提>。だが「世界最大」の陥没事故は起こり、多大な支障をきたしてしまった。
事故原因は究明中だが、陥没事故復旧、開通の遅れなどで多額の税金が投入されることにもなりかねない。
「結果次第では、埋め戻し費用など福岡市が税金負担を求められることは十分あり得る」(中山市議)
本誌の取材に対して、福岡市交通局はこう回答した。
「委員会の意見は反映してやっている。だから、1メートル下げて掘ると提案しているわけで、ナトム工法も間違っていなかったという認識です。管理値の50ミリは、陥没事故の現場から数十メートル離れている場所でもあり、決して悪いものではない。コストより大前提として安全性が優先です。原因は第三者委員会でご議論を頂いている最中なので、今の時点ではなんともいえない。ただ、市民生活には支障をきたしてしまい、申し訳ない」
調査結果が待たれる。
※週刊朝日 2017年1月6-13日号