<地質も変化があり不安定な状態が時々出てくる><地盤沈下は遅れて発生する場合もある。計測は継続的に行った方がよい>などと不安視する声が委員から続々とあがっている。
そして、専門家の危惧どおり、現実に事故は起こってしまった。七隈線は、福岡市の繁華街、天神南駅から西方に延びている。05年に開業し、当初1日15万人の利用を見込んでいたが、初年度は4万4千人。その後も乗客数は伸び悩み、赤字続き。今回の延伸工事、陥没事故があった区間だけ、ナトム工法が採用されていた。
前出の谷本氏はこう疑問を呈した。
「あのような地盤、地質でナトム工法を採用したのが間違い。おそらく経済性、コスト削減を優先させたので、ナトム工法となったのでしょう。全国の地下鉄などで採用されているシールド工法(円筒形の掘削機を押し込んで壁面をコンクリートで固めながら掘り進める)の半分程度のコストで済みます」
陥没事故問題を追及している、中山郁美福岡市議もこう言う。
「七隈線は開業当初は想定の4割くらいの乗客数でした。最近は少し伸びてはいるが厳しい経営。安全よりコスト削減したいので安いナトム工法ありきで工事を進めたようにも思えます」
福岡市交通局は13年7月2日の会議の議事録では、<安全率は緩めており、経済的な設計>とあり、かなり建設費用に敏感であった様子がうかがえる。
谷本氏はこれまで数々の委員会で委員を務めた経験からこう指摘する。