今年も多くの著名人が静かに旅立った。見送った人々の弔辞や追悼の言葉には、故人の知られざるエピソードや感動秘話が込められていた。歌手の松山千春さんが千代の富士貢さんへ捧げた言葉を紹介する。
※7月31日 FM NACK5「松山千春 ON THE RADIO」から抜粋
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第58代横綱千代の富士、九重親方。秋元貢が亡くなったわけでありますけど。馬鹿か貢、お前はやることまだいっぱいあったろう……。ショックですよ。関取になってからも腕力ばっかり強くて、投げばっかり打って肩をすぐ脱臼して、脱臼しないようにもっと腕の筋肉をつければいいといって一生懸命努力して、大関から横綱になったんだ。
不幸にもお子さんを亡くして大きな数珠をぶらさげて場所入りした(1989年の)名古屋場所で、優勝決定戦の相手が兄弟弟子の北勝海関(現八角理事長)で、お前は勝った。国民栄誉賞をもらったときには「千春、俺こんなのもらっていいのかなあ」って言ってた。いいべよ、優勝回数だってこのままいけば大鵬さん抜くかもしれんぞ、連勝記録もとてつもない数だし、俺の周りで国民栄誉賞の声がかかるなんてお前くらいしかいない、もらっておけって、俺は言ったんだ。