左から寺島(履正社)、今井(作新学院)、藤平(横浜) (c)朝日新聞社
左から寺島(履正社)、今井(作新学院)、藤平(横浜) (c)朝日新聞社
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 プロ野球ドラフト会議が間近に迫り、スポーツメディアによると今年は「投手が豊作」だそうだ。しかし一方では「どの球団も1位指名選手を公表していません。こんなドラフトは久しぶりです」(スポーツ紙デスク)と言われている。

 なぜか?

「今年の目玉は創価大学の田中正義投手で、『ドラフト史上初の12球団競合か』と言われるほど抜けた存在でした。しかし彼は今春、右肩を痛め、秋に復帰したものの、高校時代にも肩を故障している過去があるので評価に迷っている球団が多いんです」(同前)

 ということは、田中指名を回避した球団が誰を狙うのかが見どころ?

「ただね……」

 と、ベテランのプロ野球担当記者が語りだす。

「全球団が田中を指名するかもと言われていたこと自体が異様でしょ。“即戦力”を求める球団ばかりで夢がない。第二の大谷翔平を育てよう、という球団が出てきてほしいですよ」

 負けたら矢面に立たされる監督は即戦力を欲しがる傾向が強く、特に、主力が高齢化したチームや成績が低迷しているチームに即戦力志向が強いという。

巨人がその典型で、スカウト会議では『この選手なら、すぐ使えます』という報告が多いとか。それで巨人が勝っているのならまだしも、去年のドラ1は名前が思い出せないくらい全く活躍できず、チームもご存じのとおりCSファーストステージ敗退ですからねぇ」(プロ野球担当記者)

 かつてスカウトに聞いた「甲子園で名前を売った選手じゃなきゃダメなんだよ」という言葉を思い出す。力量とは別に、高校時代に甲子園で活躍し、野球に詳しくない人でも名前を知っているような選手が大スターの卵だというのだ。

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