一方、24時間テレビドラマスペシャルは、配役を高畑から小山慶一郎に変更し、撮影し直し。盲目のヨシノリ先生(加藤シゲアキ)のリハビリを担当する支援員役なんだけど、ロケシーンばかりで再撮影ギリギリ感がにじむ。常にきびしい態度を取る支援員だけど、実はヨシノリを思ってのことだった……という流れは、諸事情のせいか、ちょっと駆け足。そして無事リハビリを終え、「よくここまで頑張りました! 途中何度も挫折するかと……」って、小山と加藤が抱き合うシーン。ここがもう、ドラマとは思えない臨場感。「わずか3日で撮影、編集!」という現場のクライマックスを見たような気がした。

 ちなみにヨシノリの妻役は、沢尻エリカ。ギャートルズのような衣装で「別に」とのたまっていたのも今は昔。視力を失い、自暴自棄になった夫をどやしつける場面が最高だ。「いつまでこうしてるつもり、この屍!」。シカバネですよ、シカバネ。この世でシカバネが似合うのは、エリカ様と「大江戸捜査網」(死して屍拾う者なし)だけ。

 どんなピンチでオロオロしても、「この屍!」とどやしつけられれば、起死回生で立ち上がり、「別に」とクールに対処したい。そんな制作陣のプロフェッショナルな技を見た今回の出来事。事件そのものは、CGでも消去できないけれど。

週刊朝日 2016年9月16日号

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう