「浸水の危険性がある施設には、避難計画の策定を義務化すべきです。中小河川の場合、川幅や規模が小さいだけに一気に水位が上がりやすい。にもかかわらず、氾濫危険水位を設けていないところが多いのです。施設だけで避難計画を立てるのは困難なので、行政側が積極的に情報提供していかなくては」
岩泉町では今回、ホームのある区域が避難判断の基準を超えていながら、「対応に追われて」避難勧告を出していなかった。避難に時間のかかる高齢者や障害者は「避難準備情報」が出た段階で避難すべきだとされているが、その意識も十分に徹底していなかった。前出の佐藤常務理事も「知らなかった。避難勧告が出てから避難するものだと思っていた」と話した。
全国の山間部で川沿いの平地に立地する老人ホームや病院などの施設は少なくない。国土交通省水管理・国土保全局の担当者に対応策を聞くと、
「まずは状況を精査してから……。基本的には自治体に任せている部分が大きいので」
紋切り型の回答と及び腰。災害列島、こんなことで大丈夫なのか。
※週刊朝日 2016年9月16日号