小池百合子新東京都知事との確執と補選、憲法改正と総裁任期延長、翁長雄志沖縄県知事との長きにわたる対立、天皇陛下の生前退位問題……。これら難題解決のため、“自民党のラスボス”こと、二階俊博新幹事長が動き出した。作家・大下英治氏にその“秘策”を語った。今回はその一部をお届けする。
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大下:新幹事長としての懸案の一つが、自民党東京都連に反旗を翻して当選した小池百合子新都知事と、党との関係かと思います。8月4日に小池さんと自民党本部で会った時には、どんな話をしたんですか。
二階:小池さんからは都知事就任のあいさつがありました。私はそれを受けて、「東京は一地方ではなく世界的な大都市であり、また五輪を控えてもいますから、選挙だけをテーマに争いを続けるより、少し双方穏やかになってお考えいただきたい」という意見をお伝えしました。
大下:都知事選であれだけ激しく戦った小池知事には、党内にまだ反発も残っているでしょう。うまく関係改善できるのでしょうか。
二階:選挙ではみんな真剣勝負で戦いましたが、今は少し刀を置いて、将来の東京五輪成功のため、都民のためにどうあるべきかを静かに考える時です。答えはおのずと明らかなはずです。自民党というのはこういう時に穏やかであるべきだと、少なくとも私はそう思っています。それに小池さんとは昔からの間柄ですから。
大下:今はまだ、みんなカッカしていますからね。
二階:だから私は「撃ち方やめ」と言っているんです。選挙で結果は出ているんですから、これ以上撃っても仕方がない。それも2万票や3万票負けたという話ではなく、100万票以上の差をつけられているんですから。小池さんのパフォーマンスに負けたという声もありますが、法律で許される範囲であらゆる手を尽くすのが選挙というもので、そこはお互い様。我々は未来のことを考えていくしかないんですよ。
大下:ところで、二階さんは2018年9月で終わる安倍晋三首相の自民党総裁任期の延長について、7月19日の会見で「余人をもって代えがたしという状況が生まれてくれば、対応を柔軟に考えていくのは大いに検討に値する」と、肯定的な発言をされていましたね。
二階:安倍首相は国際的にもこれだけの評価を得ていますし、気力、若さ、政策能力ともに絶好調で現在も走り続けている。支持率が高いのも当然のことで、もう少し長くやってもらいたいという声が巷にあふれています。だから、そういう道を開いてもいいのではないかということを申し上げました。ここから先は国民・党員の皆さまのご判断ですが、だんだんそうした方向へいくのではないか。
大下:となると、今年中に決めることになりますか。