視察を終えた小池知事は豊洲について「施設も最高級。世界でもまれに見る新しい市場」と語ったが、「日程を第一に考えるのではなく、皆様のご納得、安心を優先させていきたい」と、移転延期に含みも残した。
新市場の青果棟の建物内の大気からは環境基準の6割余にのぼる量の発がん性物質・ベンゼンが検出されており、安全性への不安も残る。日本環境学会元会長の畑明郎氏はこう語る。
「青果棟があるのは元々ベンゼン汚染がひどかった地点。ベンゼンには揮発性があり、建物の隙間から室内に入った可能性が考えられます。都の土壌汚染対策では地表から2㍍の土が入れ替えられましたが、深部の汚染は残った。豊洲は水はけの悪い土地で、地下水の上昇などによって地表近くも再汚染される可能性がある。移転を延期して再調査するべきです」
移転を延期するかはリオ五輪から帰国する24日以後に判断するという。290万票を集めた新知事の真価が問われる。
※週刊朝日 2016年9月2日号