開幕が間近に迫ったリオデジャネイロオ五輪。丸山茂樹氏は、表彰台に立つ感動を日本代表にも味わってほしいと意気込む。

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 さあ8月、夏本番って感じですね。リオデジャネイロ・オリンピックのゴルフ競技は男子が8月11~14日、女子が17~20日にあります。

 僕は日本代表のヘッドコーチですので、オリンピックの期間中はメディア活動が禁じられています。この連載は、来週号から3週はお休みさせていただきまして、帰国後にドンとリオの思い出を語らせてもらいます。いい報告ができるといいなあ。

 現地からの情報によると、日中は気温が30度に達する日もあるそうなんですけど、朝晩は15度以下だそうです。ジカ熱を媒介すると言われている蚊を見ることは、ほとんどないって聞いてます。僕は競技会場になる「オリンピック・ゴルフコース」のそばのホテルに泊まります。車で「オリンピックロード」という道を走って、10分ぐらいで着くんですって。

 有力選手の辞退が相次いだのは事実ですけど、7月の全英オープンではオリンピックに出るヘンリック・ステンソン(40、スウェーデン)がメジャー初優勝を果たし、リオに向けて大きな華を添えてくれました。ヘンリックのようにオリンピックへ出場の意欲が強くて、前向きな人もいっぱいいます。僕としては頑張って日本勢を応援してこようという気持ちですね。

 日本の4選手から一人は表彰台に上がってほしいと思ってますし、十分にメダルの可能性はあると考えてます。

 表彰台はいいもんですよ。僕は日大3年だった1990年の北京アジア大会で個人、団体とも優勝できました。表彰台の真ん中の一番高いところに立って、メダルを首にかけてもらい、「君が代」が流れて国旗が揚がっていく。あのときの気分は格別ですよ。感極まるものがあります。オリンピックならなおさらでしょう。ぜひ日本の選手に経験してもらいたいです。

 厳しい戦いを乗り越えて栄冠をつかんでくれたら、これからの日本ゴルフ界を担う若い選手たちにも、広くオリンピックのよさが伝わっていくはずです。

 
 さて、今季の海外メジャー最終戦となる全米プロ選手権(7月28~31日、米ニュージャージー州スプリングフィールドのバルタスロールGC)です。締め切りの関係で結果に触れられないんですが、舞台となるバルタスロールGCについて語りましょう。

 ここで全米プロ選手権が開かれるのは2005年以来2度目なんですね。僕はそのときに出場してまして、予選落ちでした。調整がうまくいかなかったこともあって、全然お話にならない試合でした。「バルタスロールでやれるんだ!」という意気込みだけは強かったんですけどね。

 というのも80年の全米オープンがここで開かれて、最終日の最終組で青木功さん(73)が「帝王」と呼ばれたジャック・ニクラウス(76、米)と回り、2打及ばずに優勝できなかったんです。いわゆる「バルタスロールの死闘」です。当時10歳の僕はニュースでその映像を見て、「青木さんすごいな。僕もここを回ってみたい」って強く思ったんですよね。プロになって、そういった夢をいくつもかなえられたのはラッキーでした。

 それではロサンゼルスの自宅に寄って、リオへ行って参ります。朗報を待っててください!

週刊朝日 2016年8月12日号