作家・室井佑月氏は、党として一つになれない民進党の現状を嘆きつつも、エールを送る。

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 お、良いニュース。社民党と生活の党と山本太郎となかまたちは、7月14日、参院で統一会派を組む調整に入ったという。早ければ8月1日召集の臨時国会までに結成するみたいだ。

 社民と生活は、考え方が似ているもん。やっぱ、これが大事なんだと思う。

 社民の議員は先の参院選を経て2人、生活は無所属で当選した党籍を持つ2人が加わって4人。まとまれば6人となる。

 生活からは柔道の神が消えたが、この人はいなくてOK。

 今回の参院選、人材不足なのか、自民からは“?”な人が知名度を生かして当選している。

 ってことは差別化を図るためには、少数であっても精鋭の集まりのほうがいい。

 なぁに、精鋭が国会などで決してブレない目立った発言をしていけば、これから人数は増えていく。

 それに急に選挙になっても、人選に困らないよな。社民で落選した優秀な人や、「国民怒りの声」を立ち上げた小林節さん、様々な人がいる。

 彼らは勇気を持って一度手を挙げた人々だ。次に立候補するときも躊躇したりしないんじゃないか。

 そして願わくば、民進党の社民寄りな人々も、早くこのチームと共に、ひとつになって頑張って欲しい。

 最近、あたしは民進党の悪口ばかり書いてしまうが、民進党なら誰も彼もが厭だってわけじゃない。

 むしろ、応援したい人たちがたくさんいる。

 民進党の社民寄りな人々は、党にしばられ、やりたいことやいいたいことを抑えてしまっている気がする。

 いや、逆なのか。民進党の自民寄りな人々が、党にしばられ、やりたいことやいいたいことを抑えているのか。

 どっちにしろ、そんな状況、良いわけがない。有権者が困る。党だって、一枚岩になれない、弱い、というイメージがついてまわる。

 そんな状態がつづいて、喜ぶのは自民サイドだけ。

 
 グズグズしている暇はもうありませんよ。12日付の信濃毎日新聞の教育現場に関する記事によると、

自民党がホームページで「政治的中立を逸脱するような不適切な事例」の報告を広く求める調査を始めた。書式を設定し、「いつ、どこで、だれが、何を、どのように」発言したかを書き込んで、インターネットで投稿できるようにした。中立性逸脱の事例として当初、「子供たちを戦場に送るな」との主張を挙げた〉という。

 ひゃ~、たまげるぅ。

「子供たちを戦場に送るな」っていったら密告される世の中になっちゃった。

 このホームページは「子供たちを戦場に送れと言えば中立なのか」などの批判が相次いだ。「18日で調査終了」と、今は閉鎖されたみたいだが。

 政治的公平性を欠く放送をした放送局は電波を停めるっていっちゃったり、マスコミを懲らしめるといったり。自分らに逆らう人は、悪だってか。もうなんでもアリって感じ。

週刊朝日 2016年8月5日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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