独自の存在感を放つ俳優といえばこの方。最近では片桐はいりさん演じる「とと姉ちゃん」の東堂先生にくぎ付けになった方も多いはず。大の映画好きという片桐さんのプライベートについて、作家・林真理子さんが対談で聞きました。
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林:私生活はどんな感じですか? あまり伝わってこない気がしますが、お一人暮らしですか。
片桐:私、一回も結婚したことがないんです。
林:ずっと介護してらしたそうですね。
片桐:父親はがんだったので、2000年代は看護と介護と両方しました。11年のお正月に母親が亡くなって、一段落してホッとしたときに東北の地震があって。それ以来一人でいることが微妙になって、更年期うつになるんじゃないかと思ったことがあったんです。でも、そのときに映画館があったんです。いつも映画館が私を助けてくれるんだと思いました。
林:いいお話。
片桐:あの夏って、「一人で家にいて、テレビ見て冷房もつけるなんてあり得ない!」というムードだったじゃないですか。だから映画館に行ってはそのころやってる映画、片っ端から見てました。
林:ご両親は片桐さんが俳優になることに賛成だったんですか。
片桐:いえ、昔の人なんで、ぜんぜん認めてなかったですね。テレビに出るようになってからはよしとしてましたけど、変な顔して映ったりしてるので、「家に出入りするところ、見られるな」みたいなことを言われました(笑)。
林:お芝居を見に来たりとかは?
片桐:アンダーグラウンドなころはまったく。新橋演舞場とかシアターコクーンとかに出るようになってからは来てましたね。でも、不思議なことに、親が来るときに事故が必ず起きるんです。急に電動の幕が開かなくなったり、壁がバーンと倒れてきたり、上から砂袋がドサッと落ちてきたり。コワくなって「悪いけど、私にチケット頼まないで」と言って、私が知らないうちに見に来てもらうことにしてました(笑)。
林:映画館に行く以外の楽しみは?