フランス産黒トリュフとマッシュルームを裏ごしし、コンソメやポルト酒、生クリームで仕上げたソースと、約28分かけ低温で蒸しあげた地鶏玉子を合わせた逸品。トリュフペーストを入れたシフォンケーキを添えて。6480円(税込み)*別途サービス料10%シェ・イノ東京都中央区京橋2―4―16 明治京橋ビル1F営業時間/11:30~14:00L.O.、18:00~21:00L.O.定休日 日曜(撮影/山本倫子)
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フランス産黒トリュフとマッシュルームを裏ごしし、コンソメやポルト酒、生クリームで仕上げたソースと、約28分かけ低温で蒸しあげた地鶏玉子を合わせた逸品。トリュフペーストを入れたシフォンケーキを添えて。6480円(税込み)*別途サービス料10%
シェ・イノ
東京都中央区京橋2―4―16 明治京橋ビル1F
営業時間/11:30~14:00L.O.、18:00~21:00L.O.
定休日 日曜
(撮影/山本倫子)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、小説家・夢枕獏さんが選んだのは「シェ・イノの温度玉子と黒トリュフのピューレ」だ。

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 この料理、まず、見た目にびっくりしますよね。初めて見た人は味も想像つかないんじゃないかな。ふたをとると、玉子の姿がない。スプーンでそっとすくうと、鮮やかな黄身が灰色のソースの奥からとろり。トリュフの香りと、コクのある玉子の味わいが濃厚で、なかなかに官能的です。僕はこれと赤ワインの組み合わせが好きなんです。それもグラン・エシェゾーあたり、ちょっと癖のあるワインが相性がいいように思いますね。

 料理長の古賀さんとは公私にわたる付き合いです。岐阜の山中に川釣り用の小屋を持ってるんですが、そこに仲間が集まるときに、料理をお願いしたことも。僕らが魚と遊んでる間に、古賀さんは採ってきた山菜やキノコで料理を。釣れなかったときのために羊や鳩を用意してくれてね。この料理も、毎回リクエストします。親しい仲間とおいしい料理とお酒。最高ですよ。

 独特で、なんとも癖になるこの料理は、山中にいても、京橋のレストランに座っていても、僕には外せない一皿なんです。

東京都中央区京橋2−4−16 明治京橋ビル1F/営業時間:11:30~14:00L.O.、18:00~21:00L.O./定休日:日

週刊朝日  2016年7月22日号