混乱は農水省にも飛び火している。農水省幹部はこう話す。

「今回の報道で一番頭を抱えたのは、農水省かもしれない。協会にはウチからお目付け役で専務理事として行っていて、毎年の総会には農水省の担当者が来賓であいさつをしている。情報として栗木会長が政治家にカネを配ったことは知っていたが、指導や対応をしていなかった。自民党からは『お前のところがしっかりとしないから、こんな騒ぎになったんだ』と、厳しく言われている」

 栗木氏は2月、「自民党4議員に計80万円を配った」と理事会で話していた。だが、先週号の段階で特定できたのは3人。そこで、本誌はさらに取材を進め、もう一人の存在を突き止めた。養鶏協関係者は言う。

「あと一人は江藤拓(自民党衆院議員)さん。栗木さんは議員に渡した80万円を自分のポケットマネーで払えばよかったのに、ケチな性格だから、理事会という場で他の理事に負担を求めたからこんな騒動になった。みんなあきれてますよ」

 江藤氏は、自民党の実力議員として知られた故・江藤隆美氏の息子で、2012年から14年まで農水副大臣をつとめた。自民党議員で組織された「TPP交渉における国益を守り抜く会」の会長にも就任。現在は、党の農林水産戦略調査会の筆頭副会長だ。自民党農政に強い影響力を持つ農林議員の非公開会合「インナー」のメンバーの一人でもある。

 江藤氏が現金を受け取ったのは事実なのか。本誌が江藤氏の事務所にたずねたところ、現金の受け取りを認め、こう回答した。

〈支援を頂いているX社長(編集部注・原文は実名)と昨年の9月27日に宮崎空港で面会しました。そこで栗木さんからの献金とは伝えられずに、X社長サイドからという理解で20万円の献金を頂き、事務所に入金して、後日、X社長の個人献金の領収書を郵送しました〉

 江藤氏の事務所によると、後にX氏に確認したところ、そのカネは栗木氏から渡されたものだったと聞かされたため、養鶏協に連絡して返金したという。

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