今年もゴルフの全米オープンが始まった。なぜ、毎年非常に盛り上がるのか、プロゴルファーの丸山茂樹氏が解説する。

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 さあ、全米オープンですよ! 6月16日スタートで、今年の舞台はペンシルベニア州オークモントのオークモントCCです。僕はテレビ朝日系列で解説をさせてもらいます。

 僕自身はオークモントでプレーしたことがないんですけど、前回ここで開催された2007年に優勝したアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)のスコアが5オーバーですから、まあ相当なもんですよね。USGA(全米ゴルフ協会)は優勝スコアがイーブンパーぐらいになるようにセッティングしてきますから、この「5オーバー」を頭に入れて調整してくるでしょう。

 同じメジャーでも、マスターズは毎年オーガスタ・ナショナルGCが舞台で、お祭りのような感じです。少しエンターテインメント色が強いかな。全米オープンというのはメジャーでもっともコース攻略が難しい。そしてアメリカの選手にとって、のどから手が出るほど欲しいタイトルですよね。去年みたいにジョーダン・スピースとダスティン・ジョンソンというアメリカ勢同士の優勝争いになると、めちゃくちゃに盛り上がりますよね。

 全米オープンは僕にとっても思い出深い試合です。04年にメジャー4大会で最高の4位に入りました。絶好調ではなかったんですけど、会場のシネコックヒルズGC(ニューヨーク州サウサンプトン)が海沿いのリンクスコースだったんで、「これならいけそうだな」と思ったんです。

 
 それまで経験した全米オープンの会場は洋芝でラフが深くて、ティーショットを間違えると奈落の底へ突き落とされる。でもシネコックヒルズは全英オープンっぽいリンクスコース。ラフに入ってもリカバリーでき、グリーン周りでなんとか立て直せる。僕にとっては勝負しやすかった。

 初日、2日目と、それまで何度も一緒に回ったタイガー・ウッズ(米)と一緒でやりやすかったし、自分のショットの調子がものすごくよかった。それでトップで3日目を迎えられたんですね。パッティングがもう少し調子よければ、まさかのメジャー優勝もあったのかな、という試合でした。その前年の秋に首を痛めてからフォームを改良して、好結果に結びつけられたんで、十分頑張れたと思ってますよ。

 先週号でも触れましたが、マルジュニアから女子ツアーの「ヨネックスレディス」(6月3~5日、新潟・ヨネックスCC)の本戦へ進んだ臼井麗香さん(茨城・日本ウェルネス高3年)です。残念ながら予選は突破できませんでした。プロの世界というのは壁が厚いです。そこをぶち破るための課題を見つけたことでしょう。また一つ、大きな経験値を積み上げましたね!

 話は変わりますが、北海道で「しつけ」のために山に置き去りにされた7歳の男の子が、6日ぶりに保護されました。僕が子育てをしたアメリカのカリフォルニア州では、12歳以下の子どもだけで外に出られません。一緒に外出したときでも、離れてしまわないよう、すごく気をつけてました。だから今回の件はちょっと想像つかないですけど、とにかく大事に至らなくてよかった。子どもに感謝ですね。

週刊朝日  2016年6月24日号

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