5月17日、東京地裁で清原和博被告(48)の初公判が開かれた。覚醒剤取締法違反で起訴された清原被告に野球界の大先輩・山田久志元中日監督が、エールを送る。
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今年1月11日に名球会のイベントで清原と会ったとき、クスリをやってるんじゃないかって言われてたけど、彼はすごくはしゃいでてね。そのとき、現役時代によくデッドボールを当てられた話で、彼は盛り上がっていました。「ボール当てられたのに、なぜか怒ったピッチャーが1人だけいるんですよ。それは誰だと思います? 皆さん」「山田さんです!」って。清原にボールをぶつけたことは何回もあるんだけど、怒った記憶はないんだよね。清原は「山田さんに当てられたのに『なんで逃げないんだよコラー!』って怒られた」と言い、みんなで笑ってました。清原はそういう男なんです。人懐っこくて、気持ちのいい男。行儀も挨拶もしっかりできる。今の選手よりはるかにしっかりしてますよ。名球会のイベントからすぐの逮捕で、ショックを受けました。
彼がプロ野球に入ってきたとき、他の高卒新人の選手とは雰囲気が違ってました。マウンドから見てても高校生っていう感じはなくてね。今後は間違いなく大打者の道を行くだろうという予感をものすごく感じました。でも今の彼はゼロではなく、マイナスからのスタート。ゼロなんてやさしいもんじゃない。自分が立ち直っていく姿を見せていかなくちゃいけない。世間の目も厳しいし、野球をやってたとき以上の厳しい局面が来てる。それを乗り切ってもらわなきゃ困る。今後、芸能界など清原を使おうというところが出てくるかもしれないけど、絶対長く続かない。やっぱり清原は野球界に帰ってきて立ち直っていくって姿が一番いいと思う。野球界ができることは清原をマイナスからゼロまで戻してやるってこと。それから先は自分でやらなくちゃいかん。私も力を貸したいと思っています。
(本誌・上田耕司、秦 正理/今西憲之)
※週刊朝日 2016年5月27日号