佐賀空港と滑走路、左手前が漁業者の土地 (c)朝日新聞社
佐賀空港と滑走路、左手前が漁業者の土地 (c)朝日新聞社
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 4月20日の衆院TPP特別委員会で答弁に立った防衛政務官の藤丸敏衆院議員(自民党・当選2回)は、手元にある紙に書かれた文章を慎重に読み上げた。

「国の国防の任に当たるものとしては、もう少し配慮して発言すべきだったと反省している」

 この答弁を含め、この日、3度も「反省」という言葉を口にした藤丸氏。日本の安全保障政策の中枢を担う防衛政務官が、ここまで平謝りするのは異例だ。

 なぜこうなったかというと、藤丸氏は3月28日に佐賀市内のホテルで開かれた商工関係者向けの研修会で講演し、そこで防衛省の機密情報をベラベラと放談してしまったからだ。その内容をめぐっては、現在、市民団体が特定秘密保護法違反で告発の準備をする騒ぎにもなっている。

 講演の内容は、賛否が割れている佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備計画についてだった。政治的に微妙な問題だが、藤丸氏は配備先は「基本的に佐賀しかない」と断言し、聴衆を驚かせた。参加者によると、「終始上機嫌でマイクを握っていた」という。

 本誌はこの講演会の録音データを入手。そこで得意げに披露されたわが国の“外交機密”を紹介しよう。

 藤丸氏がまず語ったのが、昨年9月に成立した安保法制だ。安保法制の成立を目指した背景には、中国が習近平政権になり、ガス田開発のために、南シナ海や東シナ海への進出の動きを強めたことがあったという。(以下、< >内は藤丸氏の講演内容)

<小野寺(五典・元防衛相)さんがこれ(中国)をどうしようかと。(中略)アメリカの日米安保法案で、具体的にどういうふうに助け合うか、ガイドラインちゅうのがあるんですよ。(中略)それを見直しになったときに、アメリカに言うたそうです。(中国が)ちょっと出てくるから、どうかしてくれと。そうしたら向こう(米国)は「嫌」と>

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