プロゴルファーの丸山茂樹氏は、熊本地震の映像を見るたびに何ができるかと考え、ショックを受けるという。
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まずは熊本地震で亡くなられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。
テレビで現地の映像を見るたびにショックで。日本は地震が多い国だと分かっていながら、こういうことになってしまう。もう、活断層のある地域は一切油断しちゃいけないってことなんでしょうね。常に耐震性の問題を気にしながら、物事を進めていかないと。
これまでは地震に関して「九州は大丈夫」みたいな感覚でいた人も結構たくさんいたと思うんですけど、その九州で起きた悲劇をしっかり心に刻んで、自分なりの行動に移していかないとダメですね。
男子ツアーの今季国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」(4月14~17日、三重・東建多度CC名古屋)では、熊本出身のふたりが意地を見せました。
3位に入った永野竜太郎(27)は、震度7を観測して大きな被害のあった益城(ましき)町出身。4位の重永亜斗夢(27)は熊本市の出身です。刻々と故郷の被害が知らされる中、本当はゴルフどころじゃなかったと思います。それでも戦い抜いて好結果を残したのは、プロゴルファーとして立派な態度だったなと思います。
我々はどういう状況でも泣き言なしで最後までやらないといけないんです。最後までやって、被災した方々に勇気を受け取ってもらうってのも大事な役割だと思うんで。熊本のみなさんがふたりの頑張りを耳にして、少しでも元気を出してくれたら最高じゃないですか。あの試合の段階では、それが彼らにできる最大のことだった。
米PGAツアーを休んで帰国中の松山英樹(24)も4月17日、神奈川県藤沢市のゴルフ練習場でサイン会を開いて、募金を呼びかけました。英樹は東北福祉大1年のときに東日本大震災があって、苦しい思いを経験してます。だから何かやらないと、いてもたってもいられない状態になったんでしょうね。
東建ホームメイトカップの話に戻りますが、昨年の賞金王に輝いた29歳の金庚泰(キムキョンテ/韓国)が近藤共弘(ともひろ、38)とのプレーオフを制し、今季初優勝を飾りました。キョンテが日本ツアーでプレーオフを戦ったのはなんと、2009年の日本シリーズJT杯で僕に負けて以来だったんですって。もう7年も経つのかと思うと、何だかヘコんじゃいました。
プレーオフ3ホール目で決着がつきましたけど、近ちゃんの自滅だからもったいないですねえ。いやもう、ティーショットもあの体格の割には飛びますし、切れ味もすごい。ほんとはね、もっともっと活躍してもらいたい選手のひとりなんですよ。ドローが持ち球ですけど、ショットのバリエーションが増えれば、新たな自分が見つかるはずです。38歳、ここが勝負どころと思って頑張ってほしいです。
※週刊朝日 2016年5月6-13日号
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