「医師になる覚悟がないまま医学部に進学する生徒もいたため、医療の現状を理解し、医師の心がまえを育てるために始めました」
医進会プログラムは、高校主催のものと県教育委員会主催のものがある。主なプログラムを紹介しよう。
1年の夏にグループごとに課題研究をし、9月に発表会を行う。昨年の1年生の研究テーマをみると、移植医療、災害時の緊急救命(トリアージ)、iPS細胞、子宮頸がんワクチンの効果と危険性など、さまざまな医療ニュースに関心を持っていることがわかる。
1、2年次にはこのほか、東北大学医学部体験会、都市部の総合病院での病院体験会、地域医療体験、学習合宿会、医師や現役合格者による講話などがある。3年次には、小論文指導、面接指導、医学研究講座などと充実した内容だ。
取材に訪れた日は、昼休みに医進会の集まりがあり、新3年生が1~2年の活動を振り返ったアンケートに記入した。
物心ついたときから医師になりたかったという大類(おおるい)紗耶香さんは、中3時に参加した学校説明会で医進会を知り、入学するとすぐに入会したという。
「都市部の総合病院での体験会のとき、エボラ出血熱の流行が深刻な状況で、防護服の着用体験をさせてもらったんです。すごく動きにくくて、医療従事者は大変な思いをしながら患者さんを診ているということがわかりました」
大類さんは何度も医師の講話会に参加し、資質や将来像について考えを深め、医師になりたいという思いをさらに強くしたという。
アンケート用紙をみると、
「医者の輝かしい側面だけでなく、なるうえでの覚悟等も知ることができ、とてもよい機会だったと思う」
「講話会に参加することで、漠然としていた医師像が明確になりました」など、具体的な気付きの言葉が並ぶ。
「病院や医学部体験、現役医師の話なども人気がありますが、卒業生の話もロールモデルとなり、生徒のやる気につながっているようです」(小村田教諭)
※週刊朝日 2016年4月29日号より抜粋