そして2014年2月24日にはシンガポール閣僚会合の全体会合をやっている最中、オーストラリアのロブ大臣と秘密裏に会談したと明かし、牛肉の関税率を38.5%から半分の19%と提示されると、≪私は即座に「それはさすがにダメだ。冷蔵(チルド)と冷凍(フローズン)の2種類に」などと交渉した≫と記す。
14年7月15日にワシントンで米通商代表部(USTR)フロマン代表と交わした会話もこう記されていた。
≪フロマン代表はアメリカが得するのは750億ドル(約9兆円)で日本が得するのは1000億ドル(12兆円余)だと言うのです。「日本の試算によると、日本が得するのは8.5兆円で貴方たちの数字と真逆になっています。(略)」と返しておきました≫
14年9月、西川氏はTPP交渉の手腕を買われたのか農相に就任したものの、たった6カ月で退任。15年2月に、政治献金を受けていた企業が、国からの補助金をもらっていたことが判明したためだ。
自民党幹部によれば、
「本は西川氏が書いたのは間違いない。政治資金パーティーで配るんだと言っていた。TPPが政局になる時期に、いいのかと思っていた」
西川事務所に事実関係を取材したが、期日までに回答は得られなかった。(今西憲之)
※週刊朝日 2016年4月29日号