フード&ワインジャーナリストの鹿取(かとり)みゆきさんが、日本ワインを紹介する。今回は、北海道三笠市の「シャルドネ プライベートリザーブ 2013(白)」。
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国内外で大人気のシャルドネは、日本でも北海道から宮崎県まで栽培されている。
北海道三笠市にある山崎ワイナリーは、シャルドネの名を冠したワインを造る日本最北のワイナリー。小麦農家だった山崎和幸さんが2002年に設立。今は長男の亮一さんが醸造を、次男の太地さんが栽培を担う。設立に先立ち山崎家では、冷涼な三笠市でも完熟するブドウを探して、10品種の試験栽培をした。その結果、収穫時の糖度が20度を超えたシャルドネの栽培も決めた。
酸味も重要だ。ブドウの豊かな酸はワインの魅力にもなり、欠点にもなる。
「樹の東側に実る房のまわりの葉を早めに取り除き、房に日光を当てることで、酸が減少します。けれど西側の葉は、取り除くのを約3カ月遅らせて、ブドウの酸を保ちます」(太地さん)
そして、こうしてできた異なる酸味のブドウを一緒に発酵させる。凜としたワインの味わいは、熟した風味が豊かな酸を支えているからだろう。(監修・文/鹿取みゆき)
※週刊朝日 2016年4月1日号