──最近は「フクシマ、モナムール」など外国映画への出演が多いですね。
「今の所、私が一緒に仕事をしている人たちというのは、映画祭で見つけた才能ある監督たちなんです。この10年間で海外映画に11本出たけれど、日本の映画に出た数よりずっと多いんです。ほとんどノーギャラ、でもその映画が今回のように映画祭で受賞したりする。私が見つけて一緒に仕事がしたい人たち。彼らが伸びていくときに一緒にいたいというのが、私のクリエーターとしての欲としてあるんです。でも、年も年なので、その人たちがメジャーになっていい映画を撮るころには私は死んでいるし、役者じゃなくなっていると思うから、仕事するなら今だと思う。日本ではなかなかできないんですよね」
──日本では有名女優であるあなたにとって、それは大決心でしたか?
「日本ではお金にはなるけど、何もありがたくないんですよ。桃井かおりという名前って。そういう意味では、一番清純な、一番いい所に戻って、あたしのことを知らない新人の監督で、こういうおばさんをさがしているんだ、という作品にひっかかって一緒に仕事してみたらよかった。新人みたいに選んでもらって仕事して、それが良い感じで映画祭につながっていくのがすこぶる嬉しいです」(聞き手 高野裕子)
※週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋