金銭授受問題をめぐり閣僚を辞任した甘利明経済再生担当相。作家の室井佑月氏は、甘利氏を擁護する人たちが理解できないとこう呆れる。
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もちろん、東京地検特捜部は本格的に動き出すよね。甘利さんが大臣を辞め、すべて解決っておかしいもんね。
テレビでは安倍さんの寿司友が、
「本人は責任を取って大臣を辞めた。ほぼ説明しきれている」
とかなんとか庇(かば)っていたが、さすがにその擁護は苦しくないか?
ことの発端は、1月28日号の週刊文春のスクープだ。甘利明経済再生担当相が、都市再生機構(UR)とのトラブル解決を頼まれて金を貰っていたという、建設会社の総務担当者の告発だ。
政治家や秘書が口利きの見返りに報酬をもらったら、完璧にあっせんだ。
だいたい、そういう口利きで黒を白にできる態勢ってどうなのか? ニュースでは建設会社が払った金額ばかりが問題とされているが。
URって国交省が所管しているところじゃん。官僚の天下りが多い団体じゃん。建設会社から金をもらい、天下りの多いURに圧力をかけ、URは我々の血税をふんだんに使った――そこがいちばん問題ではないの?
甘利さんは秘書のせいにして、この問題を終わらせたいみたいだが、この問題は秘書の使い込みなどといった小さなことじゃないと思う。
それにしても、ヤ○ザと政治家にものを頼んではいけないという親の教えは正しかった。ヤ○ザと政治家は、人の弱味が飯のタネ。弱味を見せたら最後、ケツの毛まで抜かれる、ってなことを教えられたっけ。
今の世の中、そんなことをいったらヤ○ザ屋さんに怒られるかな。彼らは税金で食ってないし、国家権力に守られてないし、堂々と悪いことをシノギにしてるって自覚があるわさ。
文春によれば、甘利さんは直接現金を、そして秘書は現金+フィリピンパブでの接待や、ほかの人に渡す商品券まで、何度もたかったみたいだ。品性を疑うわ。
何度も札束をもらって「記憶にない」ってどういうこと? 別件もありすぎて、一件一件覚えちゃいないってこと?
なのに、甘利さんを庇いたい人は多くてさ。
自民党の高村正彦副総裁は、
「録音されていたり写真を撮られていたり、罠を仕掛けられた感がある。罠のうえに周到なストーリーが作られている」
といっていた。
自民党山東派の山東昭子会長に至っては、
「政治家自身も身をたださなければならないが、告発した事業者のあり方も『ゲスの極み』。まさに『両成敗』という感じでたださなければならない」
……絶句。笑って誤魔化そうとする作戦だった? スベりましたな、完全に。
こういう人たちをあたしらは「先生」と呼ぶ。彼らのなにを敬って、彼らからなにを学べというのだろうか。一般人には理解しがたい、下品さです。
※週刊朝日 2016年2月19日号